2023年1月30日月曜日

               横暴な客


 あるスーパーでしなびたホウレンソウ一把が二九八円。安値の時なら五〇円程度で買える量だから、たしかに高い。しかし例年八月の末は野菜が品薄になる時期であり、しかも今年はこの日照り続きだからしかたなかろうと思っていたときのことだ。私のすぐ側で三十才前後の女性が『どういうこと? この店は暴利をむさぼっているのと違う?』と、連れの女性に話しかけた。不愉快だった。そばには店員もいて、彼もそれを聞いたはずだ。私はその店員から顔をそむけた。

 最近、消費者の自覚が高まり、商品知識も向上して、不当な販売に対しては批判ができるようになってきた。これは結構なことだ。しかし今日私が見た光景はそれとは似て非なるものである。彼女達は愚かで横暴な消費者の見本と言うべきであろう。

 そもそも『お客様は神様である』と考えている人が多い。そういう人は店の商品を乱暴に扱って平気であり、しかも自分の買った品物にちょっと傷があると文句を言う。しかし、誰が『お客様は神様だ』などと決めたのか。それは、あくまでも、そのような客あしらいをした方が商売がうまくいくという店の側の都合だろう。我々客が自分をそのように扱えと要求できる筋合いはどこにもない。

 さらにお金を扱う商売人は卑屈であって当然だと、まるで江戸時代の士農工商意識をそのまま引きずっているかのような人もある。これでは店と客の信頼関係など成り立ちようがない。客はもう少し賢く謙虚になるべきだろう。客は『売ってもらう』存在、店は『買ってもらう』存在だと私は思っている。

平成風景点描

  草むらの凶器  赤ちゃんに缶コーヒー  山が消えた  無礼な奴

  横暴な客  不信の社会  哀しき大道芸

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