私の自慢話(2)
私に最初の赤ちゃん(長女)が生まれて、まず私がした世話は沐浴であった。ベビーバスにお湯を張って、左手で頭を右手でお尻を支えながら、ゆっくりとお湯につけていく。私は細心の注意を払ってやったつもりだったが慣れないことなので要領がつかめず、赤ちゃんが泣くことが多かった。そんな時ふと思い付いたのが歌を歌って雰囲気を和ませることである。私は『カラスなぜなくのカラスは山に……』と、『七つの子』を歌った。
やがてそれが習慣になり、沐浴の時以外でも何か話しかけるか、そうでなければこの歌を歌うようになった。外へ散歩に連れ出したときも、夜ベビーベッドに寝かしつけるときも歌った。その回数は、毎日数十回を下らなかっただろう。風邪をひいて熱を出したときなど、抱いてあやしながらほぼ徹夜でこの歌を歌い続けた。そんな時は、たぶん一夜で千回を越えていただろう。
その結果、こどもはこの歌に特別の反応を示すようになった。この歌が聞こえると落ち着くのである。気分が悪く、むずかって妻が一時間あやしても寝ないような場合でも、私が抱いてこの歌を歌えば五分と経たぬうちに眠る。この歌のおかげで、私は妻よりも子供あしらいがうまくなり、子供を寝かせるのは私の仕事になった。
やがて二人目の子ができると、今度はその子に『ゆりかごの歌』を歌い始め、『七つの子』を歌う回数は徐々に減った。長女が二才半になろうとする頃である。今、長女にきいてみてもこの歌を覚えていないようだが、心のどこかに残っていると信じている。
マージナルマンリンク
0 件のコメント:
コメントを投稿