2023年1月30日月曜日

               ホタル


 昨日、伊吹山の麓の山東町でホタル祭りがあった。ここはホタルの名所として名高く、近隣の府県からも多数の見物客が訪れる。私たち家族は昨年も行ってみたが、半月ほど時期が遅く、もうホタルを見ることはできなかった。そこで今年こそはと、ホタル祭りの日を待ちかまえていたのである。

 ところが当日はあいにくの雨。それでも、もしやという期待もあって、一時間ほど車を走らせたのだった。しかし現地についた頃にはむしろ雨足が強まり、おまけに風まで出てきて車から降りることもできなかった。

 そんな日でもJRの駅からは次々と見物客が吐き出されてくる。それを見て妻は『こんなに客がくるのだから、もう少し待てば見られるのではないか。』と未練がましく言う。しかし私はそれも振り切って『花は盛りを、月はくまなきをのみ見るものかは』などと言いながら、車を家路に向けた。

 そして今日、私が犬を連れて近くの川べりを散歩しているとき、一匹のホタルを見つけた。彦根市内にホタルがいるとは聞いたことがないので、これは私の大発見だ。私はそのホタルを捕まえて急いで家に帰った。

 『ホタルを捕まえてきたぞ』という私の声にこどもたちが家から飛び出してきた。こどもの手にホタルを移すと、その幼い手の中で黄色い光が明滅し、その手が透けるように見える。一通りそのホタルを観察してから空中に放ってやった。ホタルはしばらく鮮やかな光の糸を引きながら周辺を飛び回り、やがて隣家の屋根の上に消えた。こどもたちにとっては生まれて始めて見たホタルだった。

五人と一匹

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