いかがなものか
最近『いかがなものか』という物の言い方が流行っている。こういう言葉を使うのは年配の人だけかと思っていたら、あるテレビのインタビュー番組で二十代と思われる人も何人かこのことばを使っていた。
おそらくこの言葉は特定の社会的階層の人たちの間ではずっと以前から使われていたのだろう。それが今日のように一般に流行り始めたのはいつ頃からだろうか。
私が気づいたのは、佐川献金事件で失脚した政治家の金丸信さんがまだその疑惑を取りざたされていなかった頃、盛んにこの言葉を連発しながら政治を動かしていたときのことである。案外これがきっかけだったのかも知れないとも思う。実際、このことばはアクの強い金丸さんの雰囲気にぴったりだった。
いかがなものか、というものの言い方は、本来、物事の黒白をはっきりさせず、また相手を直接に否定しないことを美徳とする日本社会の中で、やんわりと相手を批判するときの言い方であろう。ところが、実際には優越した立場にあるものが、相手を見下しているような雰囲気がある。また、問答無用と相手を一刀両断にするような傲慢で冷たい響きをも含んでいる。しかし、一応は丁寧なものの言い方だけに、口角泡を飛ばして反論するわけにもいかない。
私自身は使いたくもないし使われたくもない言葉だ。私はもっと明解に賛成、反対の意思表示をしあいながら率直な論議をしたいのであ本社会の封建的発想を克服する道だと思う。
日本語の風景
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