水槽の生態学
私はガレージに置いた水槽で二十匹ほどの金魚を飼っている。ただしガレージといっても生け垣で囲まれた庭の一角に半透明のアクリル板の屋根をつけただけのもので、水槽といってもクーラーボックス用の発泡スチロール箱に水をはっただけのものである。
さて、この水槽の水はすっかり入れ替えても一週間程でどんよりと緑色に濁ってくる。たぶん植物性のプランクトンが増えるからだろう。それ自体は金魚にとっては無害だろうが、その濁りは水の汚れの指標でもあるに違いない。そう思って、私はできるだけ頻繁に水槽の水を替えてやるように心がけていた。ところが、それだけ気を使っていても金魚は一匹、また一匹と死んでいくのである。
そんな時、私はふと気が付いた。緑色に濁るのは、プランクトンが光合成をしているからだ。その時に放出する酸素は金魚の呼吸を助けるはずである。それなら水が濁っても替えない方がいいのではないかと。そこで早速その通り実行したら、それ以来、金魚は一匹も死なずにすんだのである。私は自分の発見に得意になっていた。
ところがそれは事実の半面でしかなかったようだ。先日、水槽を掃除して水を半分入れ換え、その時汲み出した水を放置しておいたら、初めは緑色だったその水が次第に澄んでいったのである。どうやら金魚がいないとプランクトンも生きていられず、死滅してしまうらしい。金魚が呼吸によって放出した二酸化炭素がプランクトンの光合成を助けていたのだ。
金魚とプランクトンが相互に依存しあって絶妙の生態系を作っていたのである。
ふしぎ大好き
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