いわさきちひろの絵
先日、いわさきちひろの絵の展覧会があり、妻と子供たちが観に行った。私も彼女の絵は嫌いではなく、一緒に行きたかったが、仕事の都合で時間が取れなかったのだ。会場で好きなポスターを一枚ずつ買ってやると言われて、長女は赤や青の魚が泳ぐ中に一人の女の子の描かれた絵を、長男は赤いチューリップのそばに座った赤ちゃんの絵を、それぞれ大切そうに持ち帰ってきた。
私は、いわさきちひろのかわいいきれいな絵を見るたびに、絵って何だろう、芸術って何だろうと思う。それは、絵を描く本人にとって、見る人にとって、さらに社会にとってどんな意味を持つのだろうか。
芸術とは、日常の実用とは無縁の高尚なものだと考えている人がいる。あるいはまた、それは作者の全人格をかけた表現行為だから、作品は作者の生き様と直結していなければならないと言う人もいる。もし芸術をそのように考えるならば、ひたすらきれいな夢の世界を描き続けた彼女の絵は芸術には分類されまい。そしてそれは結果的に彼女の絵の評価を低めることにつながるだろう。
私は彼女が共産党の松本善明氏の奥さんだったということ以外、彼女について何も知らない。しかし彼女の生涯が平坦な道のりであった筈はなく、彼女の描いた世界が生身の女性としての彼女自身を表現したものでないことは確かだろう。彼女の心象世界のごく一部を大きく美しく膨らませたものなのだ。しかしそれでいいのだと思う。彼女の美しい夢が私たちの心の底の何かに触れるならば、それはそれで素晴らしいことだと思うのである。
文化って何だ
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