くい違う新聞報道
県内の高校で卒業式の君が代をめぐって校長と職員が対立し式が混乱した。これについて手近かな新聞五紙を読み比べてみると、かなり違う。その違いによって事件の印象がすっかり変わってくるから問題である。
違いの第一は、取り上げられている混乱の中身である。三紙はこの高校の教師が学校の壁に君が代反対の落書きをしたことと、卒業式の当日に教職員が行なった抗議行動の両方を書いている。ところが二紙は落書き事件しか取り上げていない。記事の内容から判断するとこれら二紙は教育委員会の発表を鵜呑みにし、現場の取材や事実確認なしで記事を書いたものらしい。二紙のうち一紙は『君が代斉唱を中止した』とまで書いている。
違いの第二は、当日までの校長と職員の対立の事実経過が書かれているかどうかだ。書かれているのはA紙のみであり、他紙の記事からはその混乱が突発的な事件であるかのような印象を受ける。
違いの第三は反対した職員の人数である。A紙によれば、職員会議で君が代に反対したのはこの高校の約八〇人の教諭全員で、そのうち当日抗議行動をしたのが二十数人であるらしい。ところが、式場の混乱を伝えている三紙のうち二紙までが、『教職員の一部が反発』などと書いている。一部という言葉からは、せいぜい五人とか十人とかの人数しか思い浮かべないのが普通であろう。
新聞は社会の公器を自認しているはずである。少なくとも、誤った情報や誤ったイメージを伝えては困る。私も最初、落書き事件のみを報じたM紙を見て本質を見誤った。
マスコミに異議あり
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