雨にぬれた朝
夜が明けた、世界が創造された最初の日のように。雨の雫が落ちた、まるで最初の雫のように。黒ツグミが歌っている、まるで初めての鳥のように。………日の光を讃えよ。朝を讃えよ。神の日々創造される新しい世界を讃えよ。………
これは約三十年前、イギリスのキャット・スティーブンスが作詞作曲して歌った『雨にぬれた朝(Morning has broken)』という曲の冒頭の部分である。この曲がヒットした当時、私は感動的な思いでこの曲を聴いたものだが、その気持ちは今も変わらない。
この歌には世界の創造主である神への揺るぎない信頼と感謝の気持ちがあふれている。この世界の秩序が神の意志の下にあり、自然現象の細部にまで行き届いているという確信がある。このように感じつつ生きれば、毎日が充実し、世界は感動的に見えるだろう。
私自身は無神論者であり、『神が人間を創ったのではなく、人間が神を創ったのだ』と信じている一人である。歴史的にキリスト教徒達が犯した幾多の過ちも、教条的な教義の解釈が生み出した信仰世界の非人間性も知っている。しかしそれでもこういう曲に触れると、神を信じて生きていられる人、こういう敬虔な気持ちを感じることの出来る人がうらやましくなってしまう。
今朝、私は家のガレージのすぐ横にある柿の、木の葉の先端からまさに落ちようとする一滴の雫を見た。私はガレージから車を出して勤務先へと向かったのであるが、到着するまでの約三十分間、この雫を思い出しながら、心の中で何度もこの曲を繰り返していた。
ああ、中年
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