2023年1月29日日曜日

              ああ、中年 について


 当時私は四〇代後半、いつしか人生の折り返し点を過ぎてしまったと、痛切に感じていた。別に生き急ぐというのではないが、自分の人生はこれでいいのだろうか、自分は何の成すところもないまま人生を終えるのだろうかという秘かなおそれが心の奥底にわだかまっていた。

 思えばこどもの頃、私には大人の世界が一分の隙もない完璧なものに見え、大人として過ごす時間は果てしなく長いように思っていた。そして、就職した当初、大人の世界はあれやこれやの規則やしきたりに縛られて、は息つく場所もない窮屈な場所に見えた。そして、そんな中で生きていく人生はまだまだ長いように思われた。

 ところが、この頃にはすでに中年、もういい加減に人生というものを悟ってもいい頃なのだがそれもかなわず、これという成就感も持てぬまま時間ばかりが過ぎていくという、焦りに似たものを感じていた。

 そんな自分を感じながら書いた文章である。

ああ、中年

  ああ、中年  おとなの世界  知らぬ間の春  雨にぬれた朝  

  草いきれと煙のにおい  時の流れに  すさまじき思い

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